本記事では「一条工務店と契約することをやめた13の理由」を解説します。
一条工務店の戸建ての住宅販売戸数ランキングは「14,000戸」と、堂々の業界第1位を獲得するほど人気の住宅メーカーです。
ですが人気の裏には「一条工務店で建てることを検討し、展示場に話を聞きに行ったけど、契約をやめた人」がいるのも事実です。
そういった人は「なぜ、一条工務店と契約することをやめてしまったのか?」を本記事で詳しく解説します。
特に「住宅メーカー選びにお悩みの方」や「一条工務店でマイホームを建てようと検討している方」は参考になると思うので、良ければ参考にして下さい。
本記事の結論を最初に言うと『一条工務店のプランは独自色が強いため、好き・嫌いの意見が分かれ易い』です。
その理由の1つとして、注文住宅で建てても採用できる設備やデザインの「種類」が限定的で、家づくりの自由度が低いことが挙げられます。
一条工務店で標準搭載される設備や仕様を見ると、1つ1つが「高品質」である一方で、いずれも選べる「種類」は少なめです。
この一条工務店が提供する基本プランを見て、人によって好き・嫌いの意見が大きく分かれるはずです。
例えば、標準仕様である「タイル外壁」は、耐久年数が60年という高耐久素材で、今後のメンテナンス費用を安く抑えられるという魅力があります。
その一方で、外壁材の種類は「タイル素材のみ・デザインは1種類・カラーは全5色」と、選択肢が少なさに注意して下さい。
ですが、これは見方を変えると「プランの種類を減らすことでコスト削減を行い、高品質の設備や仕様を割安に提供する住宅メーカー」とも言えます。
このように、一条工務店の家づくりへの考え方やコンセプトをどう捉えるかで、住宅メーカーとしての良し悪しの判断が分かれるはずです。
とは言え、これは1つのケースに過ぎません。
そこで本記事では、下記の「一条工務店と契約をやめた13の理由」を様々な視点から考察します。
- 間取り設計の自由度が低い
- 設計士の間取り提案力が低い
- 坪単価が高く、住宅ローンが高額になる
- 紹介割・法人割のみで、値引きできない
- デザインが単調で、種類が少ない
- 不要に感じる標準仕様が多い
- 営業マンの家づくりの知識や接客スキルが低い
- アフター保証が10年間と短く、不安だった
- 将来のメンテナンス費が払えるか不安だった
- 室内で音が反響し易く、生活音が気になりそう
- Wi-Fiの通信環境が悪く、ストレスが溜まる
- フィリピンの自社工場で作られた海外製品
- 家づくりのコンセプト、好みが合わない
こちらは、いずれも一条工務店に対する「ネット上の口コミ」や「僕の友人の生の声」、「僕が実際に受けた印象」を元に作成したリストです。
我が家は、一条工務店のグランスマートでマイホーム建てました。その時に得た一条工務店に関する知識、そして一条工務店の家で暮らす実際の体験を元に解説を進めます。
なお、僕は一条工務店のアンチでも信者でもありません。中立の立場から、一条工務店の特徴を嘘偽りなく解説します。
一条工務店と契約することをやめた「13の理由」
一条工務店と契約することをやめた人に話を聞くと、下記の13個を理由に挙げる人が多いです。
契約をやめた「13の理由」
このように見ると「一条工務店と契約しても大丈夫かな?」と心配になるかもしれません。
ですが全く心配ありません。むしろ個人的に、一条工務店はおすすめの住宅メーカーです。
その理由は、住宅メーカー選びは住む人にとって「合う・合わない」で決めるもので、全ての人にとって完璧な住宅メーカーは存在しないからです。
例えば、家づくりに「周囲とは違った唯一無二のマイホーム」を建てたい人もいれば「家の独自性よりもコストパフォーマンスに優れた家」を建てたい人もいます。
このように「家づくりの条件」は人それぞれ異なるので、自分たちの条件にピッタリな住宅メーカーを選ぶことが大事です。
そこで本記事で解説する「一条工務店の家づくりのコンセプト」を元に「自分たちが作りたいマイホームの条件」が一致してるかをご自身で判断して下さい。
順番に解説を進めます。それでは宜しくお願いします。
その1:間取り設計の自由度が低い
一条工務店で契約をやめた1つ目の理由は『間取り設計の自由度が低い』です。
それは一条工務店が間取りの自由度よりも特に「耐震性能」を重視する住宅メーカーだからです。
一条工務店では、間取り設計に一定のルール(通称"一条ルール")を課すことで、全ての住まいが「耐震等級3の耐震性能」を標準仕様でクリアしており、地震に強いです。
そもそも耐震等級3とは、建築基準法で定められる耐震性の「1.5倍の耐震性能」を誇る住まいで、住宅性能表示制度で定められた耐震性の中で最も高い耐震基準です。
例えば「歴史的な震度7の大地震」が起きても、耐震等級3の家だと倒壊する心配がなく、壁紙の補修などを行えば住み続けることができます。
- 耐震等級1:建築基準法の最低ラインの耐震性能
- 耐震等級2:建築基準法の1.25倍の耐震性能
- 耐震等級3:建築基準法の1.5倍の耐震性能
このように多くのメリットがあることから「耐震等級3の家が建てられる」とアピールする住宅メーカーが多くある一方で、下記の2つに注意して下さい。
- 間取り次第では、耐震等級3をクリアできない
- 耐震等級3で建てるには、追加のオプション費用がかかる
ですが一条工務店では、全ての住まいが「標準仕様で耐震等級3をクリア」しているので安心です。
それは一条工務店では「間取り設計のルール(=自由度の低さ)」を厳しく決めることで、全ての住まいで高い耐震性能を実現できるからです。
つまり「耐震性能と間取り設計の自由度」は相反する関係にあるため、自分たちが「家づくりで何を重視するか」を元に判断すると良いでしょう。
その2:設計士の間取り提案力が低い
一条工務店で契約をやめた2つ目の理由は『設計士の間取り提案力が低い』です。
これは一条工務店の設計士のスキルが低いというわけではなく、家づくりで「できる・できない」のルールが明確に決まっているからです。(通称"一条ルール")
一条ルールには膨大な数が存在するため、何年も勤務するベテランの設計士や営業でも把握しきれないほどです。
実際に我が家の打ち合わせでも、設計士が専門の部署に一条ルールについて確認するシーンが何度もありました。
一条ルールの具体例をいくつか挙げると、下記の通りです。
- 耐震等級3以下の住まいは建てられず、耐震等級3をクリアするためにタレ壁や耐力壁が追加される
- 間取りは「0.5マス(45センチ)単位」でしか設計できない
- 吹き抜けのサイズは建物幅の半分以下まで
中でも、リビングなどの大空間では圧迫感が出ることを理由に「タレ壁・耐力壁の追加」を懸念する人が多いです。
そのため一条工務店の設計士は、下記のようなケースを嫌がります。
- 設計士がお客さんに間取りを提案する
- 提案した間取り図面を構造計算して検査する
- タレ壁や耐力壁の追加が必要と分かる
- 追加されたタレ壁や耐力壁をお客さんが嫌がり、間取りを再検討する
特に「②→③」で約2週間もの期間がかかるため、お客さんとしては大きなストレスを感じることでしょう。
それは「打ち合わせが進まない→賃貸に住む期間が長くなる→家賃の負担が増える」ことで、家づくりに使える予算が相対的に少なくなるからです。
このような理由から設計士からの提案が少なくなる傾向にあり、その結果「一条工務店の設計士は提案力が低い」といった不満の声が一部のお客さんから挙がっていると考えられます。
確かに「設計士の提案力が低い=契約する気になれない」という意見には納得できるものの、そもそも一条ルールは「全てのお客さんに高品質で安心して住める住まいを提供すること」が目的です。
そのため「家づくりに何を重視したいか」を元にマイホームを建てる住宅メーカーを選ぶようにしましょう。
その3:坪単価が高く、建築予算をオーバーする
一条工務店で契約をやめた3つ目の理由は『坪単価が高く、建築予算をオーバーする』です。
一条工務店の「坪単価」は毎年のように上昇しており、ここ数年で建築費が+20〜30%ほど値上がりしているからです。
一条工務店で最も人気モデルである「アイスマート(注文住宅)の坪単価」を振り返ると、下記の通りです。
- 2012年:55万
- 2015年:60万
- 2018年:65万
- 2020年:68万
- 2021年:70万
- 2022年:75万
過去10年間で坪単価が約20万円も値上げされていることが分かります。これは建坪32坪の住まいだと、+640万円のコスト増です。
一条工務店の建築費は「建坪×坪単価」で計算するため、2023年の坪単価を元に試算した建築費は下記の通りです。
- 25坪:1,875万円
- 30坪:2,250万円
- 35坪:2,625万円
- 40坪:3,000万円
ですが実際に家を建てるには、こちらの建築費とは別に「+20〜30%」ほどの諸費用が必要なので注意して下さい。
- 建築申請費用
- オプション費用
- 仮設工事費
- 屋外の「給水・排水・雨水」設備工事費
- 外構工事費
- 住宅ローンの保証料
- 上下水道加入金
- 登記費用
- 間取りの設計料
これらを元にアイスマートで32坪の家を建てる総建築費を計算すると「およそ3,000万円前後」かかる見込みです。
更に、土地代や家具の購入費なども加えると、その総額は4,000万円を超えるケースが多いです。
すると、住宅ローン返済額は「月10〜12万円(ボーナス払い・頭金無し)」となり、この住居費をどう判断するかがポイントとなりそうです。年収や支出などを
なお、上記はアイスマート(注文住宅)を元に話を進めたものの、近年では「アイスマイル」や「ハグミー」などの低価格プランにも注力しています。
こちらは既に設計された間取りプランから選んで建てる「規格住宅」で、坪単価は「50〜60万円」と安いです。
規格住宅は、家づくりに一定の制限(間取りや設備など)がある一方で、条件さえ合えば最もコストパフォーマンスに優れたプランなので、必ずチェックしておきましょう。
その4:紹介割・法人割のみで、値引きできない
一条工務店で契約をやめた4つ目の理由は『紹介割・法人割のみで、値引きできない』です。
一条工務店では「値引き」という仕組みがありません。
「値引きできない」と聞くとデメリットに感じるものの、実際はメリットとデメリットの両方があります。
- メリット :お客さん間で「得した・損した」の差がない
- デメリット:値引き交渉で安く買えない
そのため「他社の見積書と比較し、値引きテクニックを行使して安くお得に建てたい人」の中には、一条工務店をマイホームの候補から外す人がいるのも事実です。
その一方で一条工務店では「紹介割引」や「法人割引」、「親族割引」が充実しており、下記の通りです。
- 紹介割引(30万円相当のオプション)
→既に一条工務店で家を建てた人から紹介された人が使える割引制度 - 法人割引(-2〜3%割引)
→一条工務店と提携する法人で働く人が使える割引制度 - 親族割引(-1.5%割引)
→2等身以内の親族が一条工務店で家を建てている人が使える割引制度
他にも「住まいの体験会の抽選(10〜30万円相当)」や「キャンペーン割引(20〜100万円相当)」などがあり、これらを併用すると更にお得に家が建てられます。
このように一条工務店では割引制度が充実している一方で、購入時の値引きはありません。
これを理由に、お客さんの中には「値引きして貰えないのは嫌だ」や「住宅メーカーの言い値で買うと損する」と考えて、契約をやめてしまう人がいるのも事実です。
確かに値引きができる住宅メーカーだと「値引きのテクニック」次第で、他のお客さんよりもお得に家が建てられる可能性があります。
ですが、これは「得する人」がいる一方で、営業担当が案内する割高な価格に気が付かずに「損する人」もいるので注意して下さい。
この点、一条工務店は「どういった家を建てるか」や「どんな人が営業担当になるか」、「値引きテクニックの有無」などに関係なく、全ての人が平等に家を建てられる住宅メーカーなので安心できます。
その5:デザインが単調で、種類が少ない
一条工務店で契約をやめた5つ目の理由は『デザインが単調で、種類が少ない』です。
どのモデルを選ぶかで多少は異なるものの、一条工務店では「1モデル/1〜2種類」と設備やデザインの選択肢が限定的です。
この「選択肢の少なさ」は、注文住宅でも規格住宅でも同じことが言えます。いくつか具体例を挙げると、下記の通りです。
種類 | カラー | |
---|---|---|
外壁材 | 2種類 | 5色 |
キッチン | 1種類 | 4色 |
洗面台 | 1種類 | 4色 |
お風呂 | 1種類 | 4色 |
シューズボックス | 1種類 | 4色 |
フローリング材 | 1〜2種類 | 4色 |
ここでは「キッチン」を例に挙げると、グランセゾンの標準仕様であるグレイスキッチンのデザインは、下記の通りです。
グレイスキッチンのデザインは、木目同調エンボスパネルが使われた「1種類のみ」です。
カラーは「全4色」から選べ、下記の通りです。
グランセゾンの標準仕様では、キッチンや洗面化粧台、シューズボックスなどの全ての設備に、こちらのデザインとカラーが採用されます。
そして9割以上の人が標準仕様で家を建てることから「一条工務店で家を建てると、似たようなデザインになる」という口コミにも繋がっています。
このように一条工務店では、注文住宅で建てても「設備の種類」や「カラー」などが限定的です。
そのため「一条工務店の人気や性能の高さに惹かれたけど、デザインに納得できなかった」という理由で契約をやめるてしまう人が一定数いるのも事実ようです。
その6:不要に感じる標準仕様の設備が多い
一条工務店で契約をやめた6つ目の理由は『不要に感じる標準仕様が多い』です。
一条工務店では「標準仕様がモデルハウス仕様」をコンセプトにしており、他社の住宅メーカーだと有料オプションで扱うような設備も標準仕様に含まれます。
そこで具体例をいくつか挙げると、下記の通りです。
- タイル外壁
耐久年数60年でメンテナンス費用が安く抑えられる外壁 - 全館床暖房
家全体に床暖房が設置され、廊下や玄関、トイレまで暖かい - ロスガード
外気の温度や湿度の影響を受けず、24時間運転で全館を換気する - 高気密・高断熱
夏も冬も空調が効き易く、省エネ性能が抜群の住まい - 耐震等級3
震度7の大地震でと倒壊リスクが低く、住宅ローン金利や地震保険料が安い
これらが「有料オプションではなく、全て標準仕様で採用できる」と聞くと、何となくお得に感じますよね。
ですが「これら設備」にかかる導入コストは、坪単価に含めて計算されているので注意して下さい。標準仕様は「有料と同じ」です。
例えば「タイル外壁」だと、他社の住宅メーカーだと+100〜200万円の有料オプションの外壁材として取り扱うケースが多いです。
有料オプションだと「いる・いらない」を自由に決められるものの、標準仕様に含められた設備や仕様は購入が必須となります。
- 標準仕様に欲しいと思う設備が多い人
→一条工務店で建てるとお得! - 標準仕様の中身が「過剰・無駄」と思う人
→一条工務店は割高な家かも…?
話をまとめると、一条工務店の標準仕様が「自分たちの生活スタイルが合うか?本当に必要なのか?」を元に判断すると良いでしょう。
その7:営業マンの家づくりの知識や接客スキルが低い
一条工務店で契約をやめた7つ目の理由は『営業マンの家づくりの知識や接客スキルが低い』です。
マイホームに一条工務店を検討した僕の知人からは「一条工務店が良いと聞いたから展示場に行ったけど、担当になった営業マンに4,000万円の買い物を任せられないと思った。だから一条工務店と契約することをやめた。」と聞きました。
他にも、一条工務店の営業マンに対する口コミはネット上にも数多く挙がっており、下記の通りです。
- キャンペーンや補助金などを理由に契約を急がされた
- 契約すると急に冷たくなり、対応を後回しにされた
- 契約を断っているのに、何度も家にまで来て怖かった
残念ながらネット上には、一条工務店の営業マンへの良い口コミよりも悪い口コミの割合が多い印象です。
その理由は、一条工務店は2012年以降の急成長に合わせて社員を急速に増やしており、このタイミングで増えた社員の社内教育が満足に進んでいないからです。
多くの優秀な社員がいるなか、一部社員の不適切な言動により、上記のような口コミがネットに投稿されていると考えられます。
そのため「一条工務店=営業マンのスキルが共通して低い」ということは決してなく、営業担当者ごと接客スキルや家づくりの知識に差が出ると言えるでしょう。
その8:アフター保証が10年間と短く、不安だった
一条工務店で契約をやめた8つ目の理由は『アフター保証が10年間と短く、不安だった』です。
なぜなら一条工務店では「初期保証10年+延長保証30年」でアフター保証を行なっており、他社のアフター保証と比べると保証期間が短く、保証内容も乏しいからです。
具体的に、大手住宅メーカーのアフター保証を比較すると、下記の通りです。
初期保証 | 延長保証 | |
---|---|---|
一条工務店 | 10年間 | 最長30年間 |
積水ハウス | 30年間 | 永久 |
セキスイハイム | 30年間 | 無し |
大和ハウス | 30年間 | 最長60年間 |
住友林業 | 30年間 | 最長60年間 |
トヨタホーム | 30〜40年間 | 最長60年間 |
ヘーベルハウス | 30年間 | 最長60年間 |
三井ホーム | 10年間 | 最長60年間 |
パナソニックホームズ | 20〜35年間 | 最長60年間 |
ミサワホーム | 35年間 | 永久 |
住友不動産 | 10年間 | 最長60年間 |
※延長保証の期間は、住宅メーカー指定のメンテナンスを行なった場合に限る
一条工務店の初期保証10年間の中身を更に深掘りすると、下記の通りです。
一条工務店のアフター保証期間【主要20項目】
床・階段 | 2年 | 配管 | 5年 |
---|---|---|---|
外壁 | キッチン | ||
屋根 | 食洗機 | ||
内壁 | トイレ | ||
天井 | 洗面化粧台 | ||
建具 | 照明器具 | ||
塗装 | 太陽光発電 | 10年 | |
浴室 | 全館床暖房 | ||
断熱材 | ロスガード | ||
バルコニー | 樹脂サッシ |
例えば、セルフクリーニング機能で外壁の汚れを洗い流せることで人気の外壁材であるハイドロテクトタイル(約40〜50万円)の保証期間は「2年間」です。
ハイドロテクトタイルは「60年の耐久年数がある」と、一条工務店の公式サイトにも記載されているにも関わらず、実際に保証される期間はかなり短いように感じました。
そもそもアフター保証は、設備や素材などの耐久性を元に保証期間が決められることを踏まえると「ハイドロテクトタイルは、本当に60年間の耐久性があるのか」と少し不安になりますよね。
それは初期保証の加入には追加料金が発生しないものの、初期保証の運用コストは建築費の中に最初から含まれているからです。
つまり保証を使う・使わないに限らず、建築時に既にお金を支払っている状態と言えます。
そのため僕は「初期保証の内容はそこそこで、故障すれば自己負担で修理すれば良い」と考えています。
これらを踏まえて「アフター保証にどれだけ充実した内容が必要か」を検討すると良いでしょう。
とは言え、家は何十年も住み続けるものなので、アフター保証の内容を重視する人が多いのも事実です。
そのためアフター保証の期間や内容が充実した住宅メーカーをお探しの人は、一条工務店の保証内容を詳しくチェックしておいた方が良いかもしれません。
その9:将来のメンテナンス費が払えるか不安だった
一条工務店で契約をやめた9つ目の理由は『将来のメンテナンス費が払えるか不安だった』です。
それは一条工務店では数多くの高級設備が標準仕様で導入され、大半の設備が15〜30年で大規模なメンテナンスが必要だからです。
一条工務店の住まいで、特にメンテナンス費用が高額になりがちな設備は、下記の通りです。
ロスガード90 | 約90〜115万円 |
---|---|
全館床暖房 | 約45万円 |
屋根一体型太陽光発電 | 約40〜50万円 |
例えば「ロスガード90」だと、下記の3つが高額になりがちなメンテナンス費用です。
交換周期 | メンテナンス費用 | |
---|---|---|
本体 | 10~15年 | 25万 |
熱交換器 | 15年 | 8万 |
ダクト | 30年 | 25万 |
中でも、交換周期が最も短い「本体の寿命」次第で、今後のメンテナンス費用に大きな差が開くと考えられます。
このように一条工務店は「多くの機械」を導入した家なので、一般的な家よりもメンテナンス項目が多くなります。
他にも、外壁や屋根、ベランダ、水回りなどのメンテナンス費用もほぼ同じタイミングで必要なので、併せて準備しておきましょう。
これらのメンテナンス費用は、いずれは絶対に必要な費用なので必ずシミュレーションを行った上で契約に進むようにして下さい。
その10:高気密住宅は音が反響し易く、生活音が気になる
一条工務店で契約をやめた10個目の理由は『高気密住宅は音が反響し易く、生活音が気になる』です。
それは気密性が高い家(隙間が少ない)ほど、音が外に漏れ出しにくく、室内で反響し易くなるからです。
家の隙間とは、具体的に「窓とサッシの隙間」や「玄関ドアの隙間」、「換気扇の穴」などが挙げられます。
住まいの気密性能は「C値」という指標で判断ができ、住宅メーカー各社の値は下記の通りです。
C値 | |
---|---|
一条工務店/グランスマート | 0.59 |
一条工務店/アイスマート | 0.59 |
一条工務店/グランセゾン | 0.59 |
一条工務店/アイキューブ | 0.59 |
一条工務店/アイスマイル | 0.59 |
アイフルホーム | 0.61 |
スウェーデンハウス | 0.71 |
セキスイハイム | 0.99 |
三井ホーム | 2.00 |
ヤマダホームズ | 3.70 |
トヨタホーム | 5.00 |
このように一条工務店のC値(気密性)は、業界トップクラスであることが分かります。
気密性が高いほど冷暖房が効き易くなるため、電気代を安く抑えられます。他にも、家の中の声が屋外に漏れにくいなど、高気密住宅はメリットが多いです。
ですが高気密住宅にも、下記のようなデメリットがあるので注意して下さい。
- 家の中で音が反響しやすい
- 壁や床、天井の中で内部結露が起きやすい
- ファンヒーターが使えない(一酸化炭素中毒の恐れ)
僕は「①音の反響」が最大の懸念でした。具体的には「リビングのテレビの音が反響して、2階の洋室まで音が聞こえる」といったイメージです。
音の反響を理由に一条工務店との契約をやめる人は少ないものの、音に敏感な人は日々のストレス元になる可能性が高いです。
感じ方にも個人差があるので、気になる人は一条工務店の宿泊施設で1泊して体験してみると良いでしょう。
その11:Wi-Fiの通信環境が悪く、ストレスが溜まる
一条工務店で契約をやめた11個目の理由は『Wi-Fiの通信環境が悪く、ストレスが溜まる』です。
それは一条工務店の標準仕様である全館床暖房の「プレート」によりWi-Fiの電波が遮断されるからです。
例えば、情報ボックス(Wi-Fiルーターの設置場所)を1階に設置すると「2階床の床暖房プレート(=1階の天井)」がWi-Fiの電波を遮ることで、2階ではWi-Fiの通信環境がかなり悪くなります。
Wi-Fiの通信環境に関しては「吹き抜け」を採用すると効果的と聞いたものの、正直なところ効果は微妙です。
実際に我が家では、吹き抜けのエリアだと快適にWi-Fiが使えているものの、それ以外の場所の通信環境はかなり悪いです。
具体的には、Wi-Fiの電波が1〜2あればマシな方で、場所によってはWi-Fiに接続すらできない場所もあります。
Wi-Fiの通信環境の悪さは、日々の暮らしで大きなストレスを感じる原因です。そのため、下記のいずれかの対策を打ち合わせ時点から検討しておきましょう。
- 吹き抜けを採用してWi-Fi電波を届き易くする
- 床暖房プレートの影響を受けない平屋で建てる
- メッシュWi-Fiを導入する(2〜3万円程度)
今の時代、Wi-Fiの通信環境は水や電気などと同じくらい重要度が高いです。
とは言え、Wi-Fi通信の繋がりにくさは全館床暖房の仕様でどうしようもないため、他社の住宅メーカーで家を建てるか、間取り設計時に対策を検討しましょう。
その12:フィリピンの自社工場で作られた海外製品
一条工務店で契約をやめた12個目の理由は『フィリピンの自社工場で作られた海外製品ばかりを使って家を建てる』です。
それは家づくりに必要な設備や部材を自社の工場で生産することで、良いモノを安く作れるからです。
具体的に、下記の設備や部材は自社工場で作られた「一条工務店のオリジナル製品」です。
- 屋根一体型太陽光パネル
- タイル外壁(ハイドロテクトタイル)
- ロスガード90(全館換気システム)
- 洗面化粧台
- シューズボックス
- キッチン、カップボード
- ユニットバス
- 窓
- 断熱材
一条工務店でも、一部は他社のメーカー製品を採用するものの、かなり限定的です。
- トイレ :パナソニック製やTOTO製など
- 玄関ドア:三協アルミ製
- 食洗機 :パナソニック製
- 給湯器 :三菱電機製など
もちろん、お金を出せば「パナソニック製のキッチン」なども採用できるものの、他社の住宅メーカーよりも「割高な価格」で買うことになので注意して下さい。
その理由は、一条工務店では主に自社オリジナル品を使っているため、メーカー企業との取り引き数が少ないからです。
そのため「内装や外装にどうしても譲れないこだわりがある人」の中には、一条工務店だと導入が難しいことを理由に契約をやめてしまう人もいるようです。
その13:家づくりのコンセプト、好みが合わない
一条工務店で契約をやめた13個目の理由は『家づくりのコンセプト、好みが合わない』です。
一条工務店では「家は、性能。」を家づくりのコンセプトに掲げており、家づくりの特徴を挙げると、下記の通りです。
- 家づくりの独自ルールが厳しい
- 耐震性が高く、間取りの自由度が低い
- 種類やデザインは少ないが品質が高い
- 高気密高断熱で、電気代が安い
- 高耐久でメンテナンス費用が安い
- 工場生産率80%で高品質な家づくり
このような一条工務店の住まいを「好き」と感じる人が一方で、中には「合わない」と感じる人がやはり一定数います。
ですが、これは仕方がありません。
それは家づくりや住宅メーカー選びは「住まいのコンセプトが自分たちの暮らしに合うか・合わないか」で判断すべきだからです。
個人的には「コストパフォーマンスに優れた高品質な家」を建てたいと考える人に、一条工務店はおすすめできる住宅メーカーだと思います。
【結論】一条工務店は「住まいの性能と品質」を魅力に感じ、コスパを重視する人におすすめ
本記事の結論は『一条工務店は「住まいの性能と品質」を魅力に感じ、コストパフォーマンスを重視する人におすすめの住宅メーカー』です。
その理由は、他社の住宅メーカーでは「超高級オプション」に扱われるような設備が標準仕様に含まれており、これらが暮らしと「合うか・合わないか」は人それぞれ違うからです。
具体的な標準仕様の設備としては、冬でも快適に過ごせる「全館床暖房」やメンテナンス費用を安く抑えられる「タイル外壁」などが挙げられます。
ですが「一条工務店を検討したけど、最終的には契約することをやめた人」が一定数いるのも事実です。
そこで本記事で解説した下記の「一条工務店と契約をやめた理由」を参考に判断して下さい。
- 間取り設計の自由度が低い
- 設計士の間取り提案力が低い
- 坪単価が高く、住宅ローンが高額になる
- 紹介割・法人割のみで、値引きできない
- デザインが単調で、種類が少ない
- 不要に感じる標準仕様が多い
- 営業マンの家づくりの知識や接客スキルが低い
- アフター保証が10年間と短く、不安だった
- 将来のメンテナンス費が払えるか不安だった
- 室内で音が反響し易く、生活音が気になりそう
- Wi-Fiの通信環境が悪く、ストレスが溜まる
- フィリピンの自社工場で作られた海外製品
- 家づくりのコンセプト、好みが合わない